建設業の2024年問題というもの最近になって耳にしたことがある方はいらっしゃるのではないでしょうか。これは労働法が改正されたことにより労働時間が規制されるようになりました。
労働環境をより良くするための「働き方改革関連法」が2019年より順次施行されています。しかし、建設業界は、環境改善に時間がかかることから、5年間の猶予が与えられ、2024年の施行と先延ばしされました。
これは、週6日働くのが当たり前の建設業界にとっては、大きな変化を必要とされます。経営者の方は、週6日を想定して給与を支払ってきたため、給与を減給するのか・維持するのか・昇給するのかの選択を迫られるようになります。
今でこそ影響はないかもしれませんが、近いうち元請け企業や自治体から「労働法を遵守していない企業は現場に入れられない」等といった対応をする企業もでてくると思いますし、現段階でもそれに備えている企業様も少数ながらいらっしゃいます。そこで、簡単に改正内容を整理したいと思います。(ご質問がある方は、お気軽にニッセイウッドワークスにご来訪の際にお声がけくださいね!)
法改正の背景
上記は、国土交通省の資料ですが、ご覧の通り建設業界は飛びぬけて労働時間が他業種に比べて多いです。なので労働環境を改善しようという話なのですが、法律はよく「妥協の産物」と言われます。即ち、「労働環境を改善すべきだ!」と改正論者と「労働環境の改善なんかしたら現場まわらなくなるよ!」と反対派の意見の折衷案を取ることが多いです。なので、本件では根拠のわからない5年の猶予で双方の意見が落ち着いたのだと理解しておけばよいと思います。
いずれにせよ、労働環境の改善は確かに他業種と比べて必要なのかもしれません。それは、労働者の集まらない現代においては起爆剤になる可能性もあります。若者が「労働環境めちゃ良いよ」と言われる業界になるのだとすれば、多くの人材が集まる時代も来るかもしれません。
ですので、悲観的に捉えず、必要な改革だと捉え積極的に導入していけば良いと思います。
改正の内容について
先ず法律を理解する上では、原則と例外を意識してください。
労働基準法第32条で定められている労働時間の原則は、下記の通りです。
・1日8時間まで(休憩時間1時間除く)
・1週間40時間まで
これを法定労働時間といい、例外として36協定を締結した場合に時間外労働可能となっています。
そして36協定の限度というものが以下です。
・原則、月45時間かつ年360時間
・ただし、臨時的で特別な事情がある場合、延長に上限なし(年6か月まで)(特別条項)
建設業界においては、上記の例外規定すら逸脱している企業が多いです。特に現場をこなす必要のある下請け企業は、週6日勤務、一日8時間以上という会社も多いのが現実です。
上記状況を踏まえ、改正内容について説明します。
今回の改正によって、今まで条文に明記されていなかった「月45時間、年360時間」の上限が罰則付きで法律に規定されます。つまり、今まで罰則規定がなかったので無視しても問題はなかったのですが、罰則という強制力が伴うようになります。
(1)原則、月45時間かつ年360時間・・・第36条第4項・特別条項でも上回ることの出来ない時間外労働時間を設定
①年720時間(月平均60時間)・・・第36条第5項
②年720時間の範囲内で、一時的に事務量が増加する場合にも上回ることの出来ない上限を設定
a.2~6ヶ月の平均でいずれも80時間以内(休日出勤を含む)・・・第36条第6項第3号
b.単月100時間未満(休日労働を含む)・・・第36条第6項第2号
c.原則(月45時間)を上回る月は年6回を上限・・・第36条第5項
上記を徹底させるために「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」では、発注者側に請負契約締結時には適正な工期を設定しなさいという記載があります。そのため、元請け企業も今後は工期に対して十分注意して発注する姿勢が必要とされると思います。
今日は簡単な説明に留めておきますので、気になる方はニッセイウッドワークスにお越しの際にお気軽にご質問ください!勿論、ニッセイウッドワークスご利用のお客様は無料でご相談対応いたします。
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